【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第61章 ◇第六十話◇星のない夜【恋の行方編】
そう思っていたら、サシャが、ジャンは母親にとても愛されているのだと教えてくれた。
恥ずかしそうに「違う!」と否定するジャンだけれど、母親に大切にしてもらっているなんて素敵なことだ。
とても、幸せなことだ。
ふと、地下街が自分の生まれ育った場所だと言ったときのリヴァイ長の顔を思い出した。
家族はいないーそう言っていたっけ。
どんな風に大人になって、どんな風に命を懸けて守りたいと思える仲間を見つけてきたのだろう。
リヴァイ兵長は幼い頃からずっと、強かったのだろうかー。
相も変わらず、嫌われても尚忘れられない人のことを考えてしまっている私の頭の中を覗かれたみたいに、エレンがその人の名前を話題に出した。
「そういえば、ジャン。
リヴァイ兵長も一緒に見回りだったのか?」
「リヴァイ兵長?いや、見回りは新兵の仕事だからな。
そんなこと兵長がするわけねぇよ。」
「そうだよなぁ~…。今日はリヴァイ班も室内待機だったはずだしなぁ。」
エレンがしきりに首を傾げる。
何かあったのだろうか。
「リヴァイ兵長がどうかしたの?」
私の疑問を訊ねてくれたのは、アルミンだった。
「昼飯の後、見たんだよ。
食事室から部屋に戻るときだったんだけど、
今のジャンみたいにびしょ濡れだったんだよなぁ。」
「じゃあ、兵舎の外で大事な仕事があったんじゃない?
リヴァイ班は室内待機でも、兵長は他にも仕事があるだろうし。」
クリスタに言われ、エレンも納得したようだった。
お昼の後ということは、会議が終わって少ししてからということだ。
会議の後にも兵舎の外で仕事があったということか。
なんだかすごく不機嫌そうに会議室を出て行ったけれど、大丈夫だっただろうか。
そんなことを考えていると、クリスタに話しかけられた。
「さんは、今日は、ルルさんのご両親のところに行っていたんですか?」
「これ、私が貰いに行ったんじゃないの。
今日の会議で壁外任務に出ることが決まった後に
ミケ分隊長が気を遣って、ルルのご両親に貰いに行ってくれたの。」
「え?でも、ミケ分隊長はずっと私達と一緒にー。」
「はい、出来ました。」
ミカサが兵団マントを私に差し出す。