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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第7章 ◇第六話◇悪魔の囁き【調査兵団入団編】


だから、立ち上がろうとしたまま動きを止めたのは、降口に超硬質スチールの刃が見えたせいではない。
私に投げつけられたリヴァイ兵士長の言葉で、思い出してしまったからだ。
あの日、ピクシス司令に煽られて、地獄の門へと踵を返した兵士達の愚かで、哀れで、そして、あの日のあのとき誰よりも勇ましかった姿を―。

「てめぇは、世界を平和にしてくれと泣き喚いても、自分では何もしようとしねぇんだな。」

氷よりも冷たいリヴァイ兵士長の声。顔を見なくとも、あの恐ろしい瞳で私を睨みつけていることは想像がつく。
彼の言っていることも、苛立ちも、分からないわけじゃない。
でも―。

「私に何が出来るんですか。自分の幸せを探すのだけでいっぱいいっぱいなのに…。」
「君なら巨人と戦えるよ!あの日の君の戦い方を見て私は確信して―。」
「それは見間違いです。私じゃありません。
 それに、顔も知らない誰かのために命なんて懸けられません。
 私は…、あなた達みたいに、強くないんです。」

リヴァイ兵士長の顔は見れなかった。
エルヴィン団長、ハンジさんの顔も、見れなかった。
ヒルラの言っていた通り、人類の平和のためにと壁の外へ飛び出して戦う彼らは、この世界で誰よりも勇敢だと思う。カッコいいと思う。
でも、私は彼らみたいにはなれない。
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