【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第56章 ◇第五十五話◇もう二度と戻れない日常【恋の行方編】
こんなに、あからさまに避けられてしまうくらいに、私は嫌われてしまったらしい。
それもそうか。
他の男に抱かれようとしていた数分後には、あなたが好きですなんて言えるような汚い女、リヴァイ兵長は視界に入れたくもないくらいに嫌いに決まっている。
「もう~、話の途中なのに。エレンの巨人化実験より大事な用事って何だと思う?
ないよね、そんなの。ないよね?」
「さぁ?」
ハンジさんに意見を求められて、回答に困った私は苦笑いで返した。
それでは、納得できるはずもないハンジさんは、さらにブツブツと文句を続ける。
「最近のリヴァイ、なんかおかしいし、どうしちゃったんだろう。」
書類を眺めながら眉を顰めるハンジさんを横目に、私は当初の目的を果たすべくエルヴィン団長に声をかけた。
「エルヴィン団長、先日頼まれていた立体起動装置の点検結果です。
在庫数と修理・買い替えの場合の予算、故障報告の多い箇所についても
まとめておきましたので、お時間のある時に確認をお願いいたします。」
「それは助かる。先に少し確認させてくれ。」
「はい。お願いします。」
エルヴィン団長は私から書類を受け取ると、眼鏡をかけなおして簡単に中身を確認し始めた。
「さすが、立体起動装置の修理請負いで働いていただけあるな。
わかりやすくまとめている。
また後で時間のある時に確認しておくが、問題なさそうだ。」
「それはよかったです。
ありがとうございます。」
「ところで、ハンジも言っていたが、最近、リヴァイの様子がおかしいのだが、
それは君が関係しているんじゃないのか?」
眼鏡をはずしたエルヴィン団長が、私の顔をじーっと見据える。
疑問ではなく、勘の鋭いエルヴィン団長にとっては確信している事実のようだった。
すべてを見透かしているような力のある瞳は、私の中から真実だけを見抜こうとしている。
彼が知りたいのは、私が関係しているのかどうかではなく、私が何をやらかして人類最強兵士の機嫌を悪くしてしまったのかということだ。