【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第56章 ◇第五十五話◇もう二度と戻れない日常【恋の行方編】
「え?そうなの?」
ハンジさんがビックリして、私を見る。
素直で単純で鈍感なハンジさんならともかく、何でも御見通しのエルヴィン団長を私なんかが誤魔化せるわけもなく、私は正直に答えた。
「私が最低な行動をして、リヴァイ兵長に嫌われてしまっただけです。」
「君がリヴァイに?」
どうやらそれは想定していなかったらしく、エルヴィン団長は驚きで両眉を上げた。
私の言っている言葉を理解できなかったのか、しきりに首を傾げるハンジさんとは反対に、エルヴィン団長は私の言葉を咀嚼しようとしているようだった。
しばらく何かを考えるように黙り込んだ後、答えを出したらしいエルヴィン団長が私に訊ねた。
「喧嘩でもしたのか?」
あの頭の切れるエルヴィン団長が出した答えが、子供同士を窘めるようなものだったから、思わず出そうになった苦笑いを噛み殺す。
「私とリヴァイ兵長は、喧嘩するほど親しくないですよ。」
「そうか。知らなかったな。」
「じゃあ、どうしちゃったの?
リヴァイがを嫌うなんてそんなのどう考えてもー。」
「すみません、今日は午後からの訓練の準備当番になっているので、
これで失礼してもよろしいでしょうか。」
時計を確認したエルヴィン団長から許可をもらい、私は一礼して部屋を出た。