【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第7章 ◇第六話◇悪魔の囁き【調査兵団入団編】
「…何度誘われても、私は調査兵団には入りません。」
観念して、もう一度腰を下ろしたが、もう二度とこうして会いに来てほしくないということだけは分かってもらわないといけない。
だから、私は、自分の変わることない気持ちを伝えた。
だが、ハンジさんは、私の顔を見てニコリと笑うと、突然話を変えた。
「そういえば、ちゃん、結婚するらしいねぇ。
おめでとうっ。」
巨人の話を嬉々としてしているときのハンジさんが見せた楽しそうな笑顔とはかけ離れた、どこかぎこちない嫌な笑い方。
心からおめでとう、とは思っていないどころか、何か後ろ暗いことがあることまで見え透いている。
エルヴィン団長とリヴァイ兵長の顔色も変わらないところを見ると、彼らも私の結婚のことを知っていたようだ。
しかも、ハンジさんが何か企んでいることも。いや、その企みの計画を一緒に立てている仲間に違いない。
「民間人のプライベートまで勝手に調べ上げるなんて、本当に悪趣味ですね。」
「貴族の彼、イケメンだよねぇ。ストヘス区のお嬢様方がとっても羨ましがってたよぉ。」
「何を言われても、私は調査兵団になんて入りませんから。」
「しかも、結婚したらストヘス区へ移住できるんだろう?
これから内地への引っ越し準備で忙しくなるね。」
「無理やり巨人討伐に行かされたことをバラしてもいいんですよ。
あなた達にこうして脅されていることも。
そしたら、困るのはあなた達でしょう?早くここから降ろしてください。」
全く噛み合わない会話。
意思疎通も出来ない巨人を相手にしているようだ。
どうしてここまで私に固執するのか分からない。
今、調査兵団は、巨人化出来るあの訓練兵のことで忙しいはずなのに―。
「でも、内地に行けるのは君だけなんだよねぇ。」
「!?」
そんなことまで知っているのか。
ハンジさんの話に食いついてしまったら思う壷だと思ってスルーしてきたが、思わず反応してしまった。