【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第55章 ◇第五十四話◇魚も溺れる夜【恋の行方編】
お酒の熱のせいか、瞳の奥の方が熱くなって涙がせり上がってくる。
ダメだ。ここにいたら、お酒ではなくて、私の中に生まれてくるドロドロとした黒い感情に飲み込まれてしまう。
「ペトラ…、わたし、へやにもどる。」
「自分で部屋に戻れる?誰か呼ぼうか。」
「だいじょうぶ。かえれる。
ゲルガーさん、ごちそうさまでした。」
呂律が回らないながらも、なんとかそう伝えて、私は立ち上がった。
のだが、お酒を呑み過ぎていたせいで、足元が覚束ない私は立ち上がりきる前に倒れてしまった。
「おっと!大丈夫かい?」
受け止めてくれたのはナナバさんだった。
「自分で部屋に帰れるって言うんですけど、やっぱり無理ですね。」
「みてぇだな。」
「だから、呑ませすぎだって言ったんだよ。」
「わりぃ。」
ナナバさんは困ったようにため息をつくと、談話室の中を見渡して誰かを探し出した。
そしてー。
「あ、いたいた。リヴァー。」
「ねぇ、そこの新兵くん!
喧嘩なんかしてないで、を部屋に連れて行ってくれる?」
見つけた誰かを呼ぼうとしていたナナバさんの声にかぶさって、ペトラがジャンを呼びつけた。
喧嘩をやめる理由にもなるしちょうどいいと思ったのかもしれない。
「さん、潰れてるんですか?」
「うわ…、大丈夫っすか。」
喧嘩中だったエレンとジャンがやってきて、ナナバさんに抱き着く私を見下ろし驚いた顔をする。
「さんの部屋知ってるんで、俺が連れて行きますよ。」
「エレンは、日頃お世話になってる私達にお酌しなさいっ!」
「え?あ、はいっ!!」
「ということで、そこの君。を部屋に送ってあげて。
部屋はー。」
ペトラがジャンに私の部屋の場所を教えてる様子を眺めながら、私は少しずつ意識を手放した。