【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第55章 ◇第五十四話◇魚も溺れる夜【恋の行方編】
楽しいお酒の席だ。
今はとにかくお酒を呑んで、呑まれて、悲しいことは忘れたい。
見たくない。
たとえば、お酒で火照った頬が色っぽいジーニーが、リヴァイ兵長にしなだれかかっているところとかー。
「ちょっと、ゲルガー。呑ませ過ぎだよ。」
もっと飲めと私のグラスに酒を注ぎ続けるゲルガーさんを、ナナバさんが咎めた。
「あぁ?これが俺の酒の楽しみ方なんだよ。」
「ゲルガーはそうかもしれないけど、
はこれ以上呑ませたら倒れてしまうよ。」
何やら言い争いを始めたゲルガーさんとナナバさんをぼんやりと眺めながら、私はペトラの肩に頭を乗せた。
眠たくなってきたー。
そう思って目を瞑ったのに、夢を見るどころか、ジーニーとリヴァイ兵長が一緒にお酒を呑んでいる様子が瞼の裏に浮かんでくる。
仕方なく目を開けたら、やっぱり、ジーニーとリヴァイ兵長は一緒にお酒を呑んでいて、しなだれかかる彼女の胸がリヴァイ兵長の腕に押し付けられているのにまで気づいてしまった。
(どうして、私を見てくれないの…。)
リヴァイ兵長の様子がおかしかったあの日以来、なんとなくだけれど避けられているような気がしていた。
同じ兵舎にいるのだから、当然顔は合わせる。そこには大体リヴァイ班のメンバーもいるから、ペトラ達は声をかけてくれる。
でも、気づくといつもリヴァイ兵長はいなくなってしまうのだ。
今までが、構ってもらっていただけなのかもしれない。
異例の新兵として、気にしてくれていたのだろう。
相手は人類最強の兵士で、調査兵団のナンバー2なのだから、下っ端の私なんかがそもそも話せるような相手ではなかったのだ。
分かっている。頭では、分かっているのだけれどー。