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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第55章 ◇第五十四話◇魚も溺れる夜【恋の行方編】


ある日の晩、兵舎の談話室に集まって、数名の調査兵達は酒盛りを始めていた。
親戚が作ったというお酒を大量に抱えたゲルガーさんが、仲のいい調査兵を誘い集めたのだ。
有難いことに、私も誘ってもらって、一緒にお酒の席を楽しませてもらっている。
全員が、兵団服を脱いで寝る前の格好をしているからか、ここがいつもの談話室とは思えなくて、兵士達ではなくてただの友人達が集まって騒いでいるような感覚になる。
騒がしさで気づいたのか、ゲルガーさんが誘ったのかは知らないが、つい先ほど少しだけ顔を出してお酒を数杯呑んだエルヴィン団長より、ほどほどにするようにという忠告を頂いたところだ。
だが、返事だけはとても良かった兵士達は、今のところ、団長の忠告を守る気はなさそうだ。

「あ~あ、またエレンとジャンが喧嘩を始めちゃいましたね。」

お酒で酔っ払っているのか、真っ赤な顔で取っ組み合いの喧嘩を始めたジャンとエレンを見ながら、サシャがため息交じりに言う。
彼女は、さっきからお酒は呑まずに、つまみをひたすら食べている。
酒盛りに参加している104期の新兵は、サシャや喧嘩を始めたエレンとジャンだけではなかった。
ゲルガーさんは、104期の新兵を全員誘ったようだ。
先輩兵士との交流をしてほしいと思ったらしい。
アルミンも先輩兵士とこうして話が出来るのはとても良い機会だと喜んでいたが、彼以外のほとんどの新兵はお酒を楽しんでいるように見える。
未成年の彼らは、お酒を呑むのが初めてらしく、お酒の席そのものが楽しくて仕方がないという様子だ。

「ねぇ、、飲み過ぎじゃない?」
「だいじょうぶ~。」

心配そうなペトラに、私はへにゃりと微笑んだ。
絶対に大丈夫じゃないとか、なんとか、聞こえた気がしたけれど、私はもう一杯欲しいとゲルガーさんにお願いすると、なみなみに注がれたお酒を喉の奥に流し込んだ。

「おおっ!いい飲みっぷりじゃねぇかっ!
 どうだ、おれの叔父の作った酒はうめぇだろっ!」
「はいっ!とっても!頭がパーーーッとなります!!」
「そりゃ、酔ってんだよ、お前っ。」

とても嬉しそうなゲルガーさんと顔を見合わせて、笑い合う。
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