【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】
早足で追いかけてきたベルトルトとライナーが、私の隣を歩き出してすぐだった。
立体起動装置のワイヤーの音が耳のすぐそばで聞こえたと思ったら、目の前にリヴァイ兵長が降り立った。
驚く私を尻目に、リヴァイ兵長は、隣に立つライナーとベルトルトを睨みつけながら口を開いた。
「てめぇら、こんなとこで何サボってやがる。
新兵はトロスト区の見回りじゃなかったのか。」
リヴァイ兵長が何を怒っているのかに気づいて、私は慌てて仲裁に入った。
「違うんです!彼らはサボっていたのではなくて、
紙袋が重たくて私がフラフラしてたのに気づいて
2人が代わりに荷物を持ってくれただけなんですっ。」
私をチラリと見たリヴァイ兵長は、2人にそれは本当かと訊ねた。
驚きと上官の怒りに怯んだ彼らは、なんとかそれは事実だと伝える。
「貸せ。」
リヴァイ兵長はベルトルトから強引に紙袋を奪った。
そしてー。
「ちょうど休憩中だ、代わりにこれは俺が預かる。
お前らはすぐに元の配置に戻れ。」
「はいっ!」
「はいっ!」
リヴァイ兵長に敬礼した後、ベルトルトとライナーは行ってしまった。
そこへ、リヴァイ班のメンバーも続々と集まってきた。
「~!!今日は私服なんだねっ。
さっきの男の子達とデート?」
ペトラが笑顔で言う。
冗談めかした言い方だったから、そんなわけないと誰でも分かったはずだ。
普通ならー。
「えっ!?さんとベルトルトって付き合ってたんですか!?
それともライナーですか!?」
純粋が過ぎるエレンには、冗談は通じなかった。
彼を好きになる女の子は、どうしても気持ちを伝えたかったら超剛速球の球が必要だろう。
ミカサに、幸あれ。
「見回りの途中で私に気づいて、荷物を持ってくれてただけだよ。
それに、デートなら2人っきりでするものでしょう?
今のはペトラの冗談だよ。」
「あ!そうっすねっ!」
エレンは納得したような顔をする。
言ったら理解するらしい。
とても素直だ。
すっかり騙されたエレンをエルドとグンタがからかう横で、ペトラが可愛い笑顔で爆弾を落とした。