【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】
林檎の入った紙袋を抱えてくれるベルトルトと、ライナーと一緒に厩舎へ向かう途中、訓練所の前を通った。
丁度、リヴァイ班が訓練をしているところのようだった。
「エレン、頑張ってるな。
入ってすぐにあの精鋭兵達についていくのは大変だろう。」
「僕だったらプレッシャーに耐えられないよ。」
「アイツは、何も考えずにつっこみすぎるんだ。
まぁ、それが強いところでもあるが、危なっかしい。」
立ち止まった2人と一緒に、私もリヴァイ班の訓練を眺める。
リヴァイ兵長の姿を見るのは、久しぶりのような気がした。
同じ兵舎の中で生活しているのだから、それなりに顔を合わすことはあるけれど、ちゃんと会って話すというのをしたのは、ストヘス区から調査兵団の兵舎に戻る馬車の中が最後だ。
今はリヴァイ班の精鋭メンバーとエレンの連携強化を目的とした訓練を行っているようだ。
「はリヴァイ兵長とはどういう関係なんだ。」
唐突にライナーが訊ねたそれに、私は心臓が止まるかと思った。
まさか、私とリヴァイ兵長がそういう関係に見えたのだろうかと一瞬でも思ってしまって自己嫌悪に陥る。
そういえば、ライナーとベルトルトは、調査兵団に入団していることを両親隠すために、リヴァイ兵長と夫婦のフリをしていることを知っているのだ。
それを踏まえての質問だろう。
「ただの上司と部下だよ。」
「でも、この間、2人で同じ宿に泊まったって噂になってますよ。」
「え!?」
そんな噂があるなんて知らなかった私は驚いた。
私達がストヘス区から帰ってきて少ししてから、そういう噂が流れだしたらしい。
そして、みんなが言っているらしいー。
男と女がー。
「男と女が同じ部屋で夜を共にするんだ。
何かあったに決まってるが、そういう関係なのか、一時的なものなのか。
2人がいつも通りだから、余計にどうも気になっ・・・・て。」
ペラペラと私の傷をえぐることを喋り続けていたライナーの声は、私の顔を見てから尻しぼみに小さくなっていった。
どうやら、私はとてもヒドイ顔をしていたらしい。
「男と女が同じ部屋で夜を共にしたのに
発情もなにもされず、健全に夜を過ごしたと言ったら、
私を貶しますか。」
「…いえ、全く。」
「よろしい。」
私は大きくため息をつき、歩き始めた。