【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】
一応、私だって、ペトラが言うように大人の女だ。
男性と夜を共にしたこともあるし、色気ほどとはいかなくとも女としての魅力は少しくらいはあるのだと思っていた。
でもー。
「私は女だから分からないけど…。」
「そうよね、ごめん。」
「でも、は綺麗だし、色気はあると思うよ!」
さっきまでの軽蔑の表情とは裏腹に、今度はペトラは必死に励まそうと笑顔を見せてくれた。
その優しさが、胸に痛い。
大きくため息を吐き、落ち込む私にペトラは慰めの言葉をかける。
「もしかしてさ、リヴァイ兵長って意外と歳いってるから
そういうのに疎くなってるのかもしれないよ。」
「シャワーを浴びて火照った身体の女を見ても
何も感じないくらいに疎くなるものなの?」
じっとりとした私の視線から、ペトラは目を反らす。
それはやめて。傷つくから。
「あ…!10代の男の子って、そういうことばっかり考えてるって言うじゃない?」
「聞いたことはあるけど。」
「だからさ、新兵の子を誘惑してみたらどう?」
ニッコリと微笑んでペトラは提案を口にした。
頭の中でその提案の意味を考えてみたけれど、分からない。
「何のために?」
「の色気が本当に男に通用しないか試すためだよ。」
「だって、10代の男の子はそんなことばっかり考えてるんでしょ?
発情期の10代と疎くなってるかもしれない30代の性欲を比べても意味ないんじゃー。」
「10代の男の子もその気にさせられなかったら、ジ・エンドだね。」
「…!!」
冷たく言い放ったペトラの痛いほどの事実に、私はショックを隠し切れなかった。
「ねぇ、~!私がこの前言ってた本ってどこにあるんだっけ~?
…どうしたの、そんな青い顔して。」
いつものようにノックもせずに私の部屋の扉を開けたハンジさんは、残酷な現実に打ちのめされる自分を想像してしまった私を見て怯えた。