【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】
これから壁外調査で恐ろしいほどの地獄を見るのだろうが、そんな恋心どころか女としてのプライドまで粉々にされるような地獄を見る覚悟なんて出来ていないのだ。
だからー。
仕方がないじゃないかー!
「いい歳したって、言わないで…。」
「だって、そうでしょ。私より年上のお姉さんのくせに。」
「くせにって、言わないで…。」
「言うよ、何度だって言うよ。
男と女が夜を共にしたのなら、間違いのひとつやふたつあるものじゃないの?
がリヴァイ兵長のこと好きなら余計そうでしょ。どうして、何もないの?」
ベッドの縁ににうつぶせに倒れこみ、枕で顔を隠し落ち込む私に、ペトラは追い打ちをかける。
グサ、グサ、と刺さる友人の叱責という刃が痛い。
「たぶん、本人は気づいてないと思うけど、リヴァイ兵長ってモテるんだよ?」
「…知ってます。」
「他の女にとられちゃう前に、既成事実でも作ってしまわなくちゃ。」
「…!?」
ペトラからそんな言葉が出てくるとは思わず、私は驚いて顔を上げた。
そこにはまだ、私を蔑むような瞳があって、また落ちこむ。
「既成事実ってさ、発情してもらえないと作れないよね。」
「…そんな素振りもなかったってこと?」
「私って色気、ないかな?」
言いながら、自信喪失していく。
いや、もうあの夜に女としての自信なんてとっくになくしている。