【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第53章 ◇第五十二話◇臆病者の夜【恋の行方編】
「え?もう終わったん、で、すかー。」
開いたシャワールームの扉を見て、私は慌てて目を反らした。
リヴァイ兵長もこの部屋のルームウェアを借りたようだが、下のズボンだけだ。
上半身の裸体を見てしまった。
決して、決して想像したことはないけれど、想像以上に筋肉質で男らしくて、濡れた髪がやけに色っぽくてー。
(恥ずかしい!私が!!)
恥ずかしがる私の気持ちなんて全く気付いていない様子のリヴァイ兵長は、肩にかけたタオルで適当に濡れた髪を拭きながらやってくると、中央にある2人掛けのソファにドカッと腰をおろした。
「災難だったな。」
「そうですね。
でも、兵団のお金でシャワー浴びれたので
ラッキーだったと思うことにします。」
「ものは考えようだな。」
「そうですよ。なんでもポジティブシンキングが大切だって
オルオに教えられたんです。」
「まぁ、それだけが取り柄みたいなやつだからな。」
リヴァイ兵長の裸体が目に入らないように、窓の方を見ながら私は必死に平静を装う。
シャワー後の男女が同室にいるのに、平然としているリヴァイ兵長は私よりもずっと大人だー。
そう思う反面、何も感じてもらえていないことがツラかった。
シャワーを浴びれたことが嬉しかったのか、いつもよりも饒舌なリヴァイ兵長と話をしながら、私はただただ一心にタオルで濡れた髪を拭き続ける。
「髪が長ぇと時間がかかって面倒だな。」
「そうですねぇ。」
「切らねぇのか。他の奴らは短いのが多いだろ。」
「せっかくここまで伸びたのを切るのはもったいなくて。
結んでしまえば、任務中もそこまで邪魔じゃないですし。」
「そういうもんか。」
リヴァイ兵長はさほど興味もなさそうに答える。