【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第52章 ◇第五十一話◇アニと不思議な話【恋の行方編】
買い物を楽しんだ後は、カフェに入っていた。
紅茶はもちろん美味しいのだけれど、ホットミルクにフルーツを入れていたり、可愛くて美味しい飲み物が多くてお気に入りのカフェだ。
「なんか変な感じ。」
アニが、左手首を振って、つけたばかりの赤いブレスレットを揺らした。
注文した飲み物が来てからも、しきりに赤いブレスレットを気にしている。
あの雑貨屋で見つけた綺麗な赤いブレスレット。アニも綺麗だと思ってくれたそれを、お揃いでつけようと私がプレゼントさせてもらった。
なんだかんだ言いつつも、私が勝手にした約束を守ってくれたお礼と、私がただアニとの繋がりが欲しかったから。
今までアクセサリーを身に着けたことがないから、と困った顔をしたアニだけれど、ブレスレットを受け取ってすぐに手首につけてくれた。
やっぱり、アニは優しい娘だと思う。
「大丈夫、すぐにつけてることも忘れちゃうくらい慣れるよ。」
私も自分の左手首を振って、赤いブレスレットを振った。
「そうは思えないけど。」
アニは自分の左手首を飾る赤いブレスレットを真剣に眺めている。
思った通り、アニは赤が似合う。
十字架の飾りもアニのクールな雰囲気と合っていて、やっぱりこのブレスレットにしてよかったと思う。
しきりに腕を振って赤いブレスレットを揺らしたり、眺めたりした後、アニは紅茶の入ったティーカップを口に運びながら言った。
「調査兵団が帰還した後も、音沙汰ないから死んだのかと思ってたよ。」
アニの声は抑揚がなく、興味のない感想文を読んでいるようだった。
でも、憲兵団施設で私を見たときのアニは、死んだ人間を見たような顔で驚愕していた。
本当に、死んだと思っていたのだろう。
「死んだよ。一度、死んだの。」
私はティーカップに映る自分を眺める。
そこに映る私は、ティーカップに揺れてよく見えないけれど、でも、これだけは分かる。
今の私は、ルルが救ってくれた命で生きている。
これはそう、第二の人生なのだ。
もう二度と、後悔するような人生は送らない。絶対にー。
「…へぇ。」
アニはチラリと私を見た後にそう言って、紅茶を口に運んだ。
詳しく聞こうとしないところが、アニの優しさなのだろう。
それから、私達は他愛もない話をした。
主に104期の新兵達の話で、主にサシャとコニーの愉快な話だった。