【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第52章 ◇第五十一話◇アニと不思議な話【恋の行方編】
こういう発展のない会話が、ショッピングの醍醐味だと私は思っている。
だが、今回、このお店に入ったのは雑貨が欲しかったからではない。
実はこの雑貨屋、知る人ぞ知る、アクセサリーショップでもあるのだ。
雑貨屋のアクセサリーだけあって、宝石がついているような高価なものではないけれど、店主の手作りという繊細な飾りがついた綺麗なものが多くて、大好きなのだ。
「これこれ、これを見に来たのよ。」
一番奥に大切そうに陳列されているアクセサリーには、ネックレスや指輪以外にも髪飾りやブレスレット、ネクタイピンなんかもある。
「へぇ、こんなのもあるんだ。」
意外そうにしながらも、アニは一番近くに飾られているネックレスを手に取った。
十字架を模したそれは、クールだけれど真っすぐな瞳をしたアニにとても似合っていた。
でも、欲しいと思って手に取ったわけではなかったのか、すぐに棚に戻した。
「綺麗。」
私の目を奪ったのは、真っ赤な天然石で出来たブレスレットだった。中央には銀で出来た十字架の飾りがついている。
「確かに、綺麗だね。」
アニが私の手元を覗き込んで言ったその一言は、私を喜ばせた。
目を輝かせてアニの顔を見た私に、彼女はあからさまに、余計なことを言ってしまった、と後悔をした顔をしたけれどー。