【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第6章 ◇第五話◇悪魔の提案【調査兵団入団編】
調査兵団の団長と兵士長を引き連れてやってきた兵士は、自分のことをハンジと名乗った。
分隊長を任されている手練れらしい。
でも、民間人の自分にはそんなことは関係ないことだ。
それなのに、強引で人の話を全く聞こうとしないハンジのペースに流され、あれよあれよと彼らが乗ってきた馬車に乗せられていた。
「本当は、君をお洒落なお店に連れて行ってあげたいんだけどさ。
知っての通り調査兵団はお金がないし、それに誰にも聞かれたくない話だから
出来れば、このまま馬車を走らせながらお喋りがしたいんだけど、どうかな?」
「…どうぞ。」
どうせ何を言ったって聞かないのだろう。
それなら、早く話を聞いて家に帰りたい。
投げやりな気持ちを隠しもしないで答えたが、ハンジさんは満足したようで嬉しそうに礼を言われた。
「それで、話っていうのはね。君のこれからの話なんだけど。」
「私のこれから?」
なぜ、私のこれからの話を調査兵団の兵士達とお喋りしなければならないのか。
これからといえば、結婚のことしか頭に浮かばない。
もしかして、貴族出身のルーカスと調査兵団に何かしらの繋がりがあるのだろうか。
でも、もしそうなら、さっき玄関前ですれ違ったときに、何かしらの接触があってもよかったはずだ。あのとき、ルーカスもハンジさん達もお互いをチラりと見ただけで、声をかけることはなかった―。
「クソメガネ、まわりくどい。」
「だって、何から話せばいいかわからないからさぁ。」
大きくため息を吐いたリヴァイ兵士長がこちらを向いた。
鋭い眼光に思わずたじろいでしまう。
巨人も恐ろしかったけれど、この男の瞳も怖い。
「おい、女。」
「はい…。」
「トロスト区奪還作戦、トロスト区内の巨人掃討作戦に参加したのは本当か。」
言葉尻こそ疑問形ではあったが、実際は、事実の確認に過ぎなかった。