【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第48章 ◇第四十七話◇自由な兵士【恋の行方編】
ハンジから、ルルがどういう経緯で調査兵団に入団したのかについては聞いていた。
次の壁外調査では、何かあればのために死ぬ覚悟なのだということは分かったが、自分が死んだ後の心配までしているとは思っていなかった。
「そんなことを…。でも、じゃあ、どうして?
わざわざ、調査兵団を残れるようにしてやったんだい?」
ハンジが首を傾げる。
死んでいった若い兵士の願いを聞くために、自分が書類の書き換えまでしてしまったなんて呆れてしまう。
でも、あのまっすぐな眼差しを見て、断れる人間がいるのなら教えてほしいくらいだ。
「が自分の意思で辞めたいと言ったときは、引き留めないであげてほしい。
だから、自分の意思で考えられるようになるまで、待ってあげて欲しい。
それまでは、帰れる場所を守っていてあげてほしい。」
「ルルが、そう言ったのかい…?」
「私に託されたルルからの最後の願いを、私は叶えてやる義務があった。
約束をしてしまったからね。」
エルヴィンはそこまで話すと、また書類に視線を戻した。
が兵舎を出て行く日、最後の挨拶に来た彼女に、エルヴィンは、本当に調査兵団を辞めたいのかと問うた。
ここで、「辞めたい。」と答えれば、本当に退団届として受理するつもりだった。
だが、はそうは言わなかった。
『苦しいんです…。私はこの場所に、大切な人が出来すぎました…。』
顔を伏せ、が苦しそうに絞り出した声は、辞めたいとは言っていなかった。
だから、一縷の望みをかけて、エルヴィンは退団届を休暇届に書きかえて、ストヘス区に住むの家族にも手を回した。
そして、は調査兵団へ戻ることを願い、帰ってきた。
すべては、ルルの思惑通りだったのか、エルヴィンがただ期待の新人を失いたくなかったのか、他に心配事や打算があったのか。
今となっては、自分でも分からない。
ただー。
「そっか~。そんなことがあったのか。
さすが、ルルだな。
そのおかげで、は戻ってきて、他のみんなもなんだか明るくなったんだよねっ。」
ハンジが嬉しそうに言った。
本当に、その通りだ。