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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第2章 ◇第一話◇悪夢の再来【調査兵団入団編】


まだ慣れない左手の薬指の重たさを、右手の指が撫でる。
昨日の夜、恋人から指輪を貰った。
こんな辺鄙な街だが、彼に出来る限りのお洒落でロマンチックなプロポーズをしてくれた。
奇しくも昨日は、訓練兵の解散式だった。
彼らが、人類の未来のために心臓を捧げることを誓ったその日、私は、彼に人生を捧げることを決めたのだ。

「昨日、貰ったの。」
「そんなこと見りゃ分かるわよ。いいわね、アンタは、将来安泰じゃないの。」
「どうして?」

本当に不思議に思って訊ねれば、ヒルラにこれ見よがしなため息を吐かれた。

「なんでって、アンタ。あんな優良物件、この街には絶対にいないんだから!」
「そうよね。」
「あ~あ、惚気られちゃったぁ。私にもチャンスがあるはずだったのにぃ。
 もうっ、今度、絶対に彼氏の友達紹介してよ!貴族の彼氏の!!」

鬼気迫るヒルラに優良物件の紹介が出来るように努力すると約束をして、私達は残りの事務仕事に取り掛かった。
といっても、特に急ぎの仕事があるわけでもない。
ヒルラなんて、堂々とマニキュアを塗りだした。
勝負の日につけると言っていた赤色が彼女の綺麗な形をした爪にのせられていく。
さすがにそんなに堂々と仕事をサボることは出来ないが、私も書類に文字を走らせながらも、左手薬指の宝石の輝きに目がいってしまってなかなか仕事が捗らない。
ヒルラは幸せボケだとからかうけれど、本当にそうなのか。
不安が襲ってくる感覚が消えてくれないのだ。
これがマリッジブルーというやつだろうか。
恋人のルーカスとの出逢いは、上司に同行して内地であるウォール・シーナのストヘス区へ行ったときだった。
本当なら上司の同行はヒルラだったのだが、体調を崩して欠勤していたため、急遽代理でついていくことになったのだ。
ヒルラが、自分にもチャンスがあるはずだった、というのはそのためだ。
だが、今でも自分が一番信じられないでいる。
だって、奇跡としか思えないことに、何のとりえもない私に一目惚れをしたと、ルーカスが声をかけてきたのだから。
ヒルラ曰く、前世での行いが余程良くないとこんなことにはならないらしい。前世での自分に感謝しろと何度も言われている。
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