【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第2章 ◇第一話◇悪夢の再来【調査兵団入団編】
100年の平穏が終わりを迎えてから5年が経った。
巨人襲来とその後のウォール・マリア奪還作戦にて人口のおよそ2割が失われたと王政から発表はあったが、ウォール・ローゼの最南端であるトロスト区に住んでいると、あまり実感することはない。
むしろ増えたように感じる。
それはきっと、生きる場所を失ったウォール・マリアの住人が、現在の外地であるここウォール・ローゼで暮らしているからだろう。
巨人との対戦が現実的になってきたことで、兵団の活動が活発化し、兵団関係の仕事が増えた。
そのおかげで、トロスト区の人口が増えても、なんとかみんなが職について生活を成り立たせることが出来ている。
巨人によって生活を奪われた人類が、その巨人のおかげで増えた仕事で生活しているのだから、なんと無情な世界だろうかと思う。
だが、その恩恵を受けているのは私も同じだ。
「、これも頼む。」
「はい、わかりました。」
技術士から立体起動装置を受け取って立ち上がると、私は事務所奥にある保管庫へと向かった。
今の私の仕事場は、トロスト区にある駐屯兵団施設そばにあるこの事務所だ。
兵団が使用する立体起動装置や超硬質スチールの修理やメンテナンスを行っている兵団施設の請負いで、簡単な修理やメンテナンスならここの技術士達が任されている。
そこで私は、預かった立体起動装置や超硬質スチールの管理や簡単な事務をさせてもらっている。
二重の鍵でしっかり施錠された保管庫の鍵を開け、技術士から受け取った立体起動装置を棚に置いた。
整然と並べられた立体起動装置と超硬質スチールは、何度見ても慣れない。
巨人を殺す道具だとは知っていても、あまりピンとこない。
でも、この道具が怖いものであることは理解している。
その矛盾が気持ち悪くて、私は兵士達が大切そうに身に着けているこの装備があまり好きではない。
預かっている立体起動装置と超硬質スチールの数に問題がないことを確認して、鍵を閉める。
私が自分の席に戻ると同僚のヒルラが声をかけてきた。
「今日はなんだかいつもよりも幸せそうに見えるわね?」
目ざとい彼女がニヤニヤと笑みを浮かべる視線の先では、大きなダイヤが輝いている。