【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第42章 ◇第四十一話◇まだそばにいたい【調査兵団入団編】
私は痛む胸に手を乗せて、口を開いた。
最後にリヴァイ兵長に伝えなければならないことがある。ちゃんと、お礼を言ってからじゃないと兵団から去ることは出来ない。
「ルルを助けに行ってくれたこと、ペトラから聞きました。」
「そうか…。助けてやれなくて、すまなかったな。」
「巨人の大群がいたんですね。」
「あぁ。」
「私、何も知らなくて。ルルしか見えてなくて。
リヴァイ兵長にまで危険なことさせてしまって、すみませんでした。」
巨人の大群がいたことなんて、昨日ペトラから話を聞くまで知らなかった。
ルルさえ助ければいいと思っていた私とは違って、リヴァイ兵長には全体の状況が見えていた。
もし、リヴァイ兵長がルルを助ける選択をしていたら、巨人の大群をペトラ達の元まで連れていくことになっていた可能性が高い。
そこにいるのがリヴァイ班だけだったのなら、そしたらもしかしたら、リヴァイ兵長はルルを助けようとしたかもしれない。
でもそこには、恐らく気を失った状態のエレンがいた。彼を守りながら戦うのはかなりの労力がいる。
誰かが犠牲になるのは避けられない。
それなら、精鋭と呼ばれる彼らを守るためにも、ルルを見捨てるのが一番合理的だ。
あのとき、リヴァイ兵長には、人類という大きな規模で命が見えていたのだろう。
そこで、ルルの命はとても小さかったに違いないー。
それでも、リヴァイ兵長はルルを助けに戻ってくれた。もう手遅れだと知っていながら、助けると告げて戻ってくれた。
正気を失った私の代わりに、ちゃんと助けて戻ってきてくれたのにー。