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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第42章 ◇第四十一話◇まだそばにいたい【調査兵団入団編】


「お前は何も悪くない。頭を上げろ。」

リヴァイ兵長がそう言ってくれても、私は頭を上げられない。
私にリヴァイ兵長を責めるつもりはなくても、1人で傷ついていた私の姿はリヴァイ兵長を責め続けていたに違いない。
だから昨日、リヴァイ兵長はルルの両親に、娘を殺したのは自分だとー。
今だってきっとー。

「なんて顔してやがる。」

いつの間にか立ち上がっていたらしいリヴァイ兵長は、向かい合って立つと、両手で私の頬を包んで強引に顔を上げさせた。
呆れたように睨みつけるその顔を、兵団に入る前の私なら、冷たい人だと恐ろしがったに違いない。
でも知っている。私はもう、彼の優しさと、本当の強さとは何なのかを知っている。
だから、気づいてしまった。
私はー。

「私は…、弱い…っ。」

自分の顔が情けないくらいに崩れたのが分かった。
でも、涙は出ないのだ。
悲しみ方も分からない。
ルルを助けることさえ出来ていれば、私は笑っていられたのに。
悔しかった。悔しくて、悔しくて、たまらなかった。
あのとき、リヴァイ兵長に頼るしかなかった自分が。大切な友人を自分の手では助けられないと理解していたことが。

「いいじゃねぇか。」

リヴァイ兵長は困ったように言うと、私の頭の後ろに手を置いて自分の方に引き寄せた。
そして、寄り掛かる格好になった私の腰に手を回して抱きしめる。
リヴァイ兵長の息遣いが、耳元から聞こえてきて戸惑った。
このままじゃ、離れられなくなる。
弱い私は、リヴァイ兵長に頼って、生きていきたくなるー。
離れようとした私の身体を、リヴァイ兵長の腕が許してはくれなかった。
さらに強く抱きしめてから、リヴァイ兵長は言った。

「お前はそのままでいい。」

耳元から聞こえてくるリヴァイ兵長の声は優しくて、泣きそうになった。
でも、涙は流れない。
私の心は、本当に壊れてしまったのかもしれない。
だから、こんな時にも私は、ずっとそばにいたいなんて愚かなことを願ってしまったのだろう。


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