【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第40章 ◇第三十九話◇会いたい…【調査兵団入団編】
「私は…、ルルだけじゃなくて、彼女の両親の心も殺したんですね。」
自分を殺せば少しは楽になってくれると思った。いや、自分が楽になりたかった。
彼らを追い詰めたのは自分だー。
はそう言って、両手で顔を覆ってうな垂れた。
みんながみんな、自分を責めていて、誰かに罵られたいと願っていたのかもしれない。
だから、ポツリ、ポツリ、と紡がれるの声が、歯がゆくなるほどに切ない言葉になって、ハンジの胸を締め付け、息苦しくさせた。
きっと、リヴァイはもっとつらかったに違いない。
「顔を上げろ。」
リヴァイが片膝をついて、の両手を掴むと無理やり顔を上げさせた。
傷ついた顔のに、リヴァイが続ける。
「お前にそんな風に思わせちまったのは、おれだ。」
「違います。リヴァイ兵長は悪くなー。」
「いいか、よく聞け。悪いのは、おれだ。お前じゃねぇ。」
リヴァイはピシャリと言い切る。
有無を言わせない強引さが、低い声に乗って静かな部屋に響く。
「それも違うよ、リヴァイ。」
たまらず、ハンジは椅子を引いて持っていき、の隣に腰を下ろした。
「あのときの状況は、リヴァイから私も聞いてる。
仕方なかったんだ。私達は知ってるはずだよ。リヴァイの判断は間違ってない。
そこにいるのが私でも、エルヴィンでも、他の誰でも結果は同じだった。」
ハンジは、の肩に手を回す。
自分の方に抱き寄せれば、彼女の心臓の音が伝わってくる。
そう、ここにが生きている。
それは、リヴァイの判断が間違いではなかったという何よりもの証拠じゃないか。
ペトラ達も、口々に言う。
仕方なかったんだーと。
仕方なく亡くなってもいいいい命なんてないと、日頃から言っていたにとって、それがどんなにヒドい言葉だとみんな知っていても、そう言うしかなかった。
だって、そう思うしかないじゃないか。
他にルルの死を何と言えばいい。
勇敢な死だと言ったところで、ここに彼女が戻らないことに変わりはないのに。
そう、彼女の母親の言った通りなのだ。
どんなにそれらしい言葉を並べてみたところで、誰の心も満たされはしない。
そんなの、分かってるー!