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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第40章 ◇第三十九話◇会いたい…【調査兵団入団編】


医務室を出たハンジとリヴァイは、作戦会議室にやってきていた。
今回の騒動の報告という名目であるが、団長であるエルヴィンへの報告は既にモブリットから終わらせてある。
騒ぎを鎮静化させるために、とりあえず当事者たちを集めただけだったのだが、結局は騒動を聞きつけて心配した数名も作戦会議室に駆けつけていたようだ。
上への報告に向かったと思われるエルヴィンはいなかったが、モブリットと、ミケは残って、ハンジとリヴァイを待っていた。
心配して駆けつけたと思われるリヴァイ班の面々もいて、リヴァイの傷の具合をハンジから伝える。
傷の割には大した心配もなく、しばらく動かさずにいれば元の状態に戻ると聞き、安心したようだった。

「血が…、滲んでる…。」

リヴァイに歩み寄り、は包帯の巻かれた手にそっと触れた。

「あぁ…大丈夫だ。こんなの。どうってことねぇ。」

包帯に包まれた傷を隠すように引っ込めようとしたリヴァイの手を、の手が掴まえる。
傷が痛まないように、そっと優しく包んでいるのが、少し離れた場所で見ているハンジにも分かるくらいで。
包帯の上からでも傷の深さが分かる、痛々しいリヴァイの手。には見えていないのだと思っていたけれど、分かっていたのかもしれない。
怪我をしているリヴァイよりも、の方が痛そうな顔をしている。
どうして、自分が苦しんでいるときに、誰かの傷に寄り添ってしまうんだろう。
もリヴァイも、彼らだけではない、みんなそう。
誰かの傷に寄り添って一層苦しくなって、終わりのない苦しみを敢えて続けようとしているみたいだ。

「私のせいで、ごめんなさい…。」
「ちげぇ、おれが勝手にやったことだ。お前は何も悪くねぇ。」
「痛いですよね…。痛いのに…。ごめんなさい…。」
「謝るな。おれは大丈夫だ。」

そう言うと、リヴァイはを近くの椅子に座らせた。
ずっと死んだようにぼんやりとしていたの瞳に、ようやく色が戻ったようだったけれど、それがリヴァイの傷によってだなんてなんという皮肉だろう。
それでも、リヴァイは、自分の傷でが少しは正気に戻ったのなら上出来だと本気で思っているに違いない。

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