【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第5章 ◇第四話◇指輪【調査兵団入団編】
あの悪夢から一週間が経とうとしている。
トロスト区内に残された死体の回収は数日前に全て終わり、住民も少しずつトロスト区内への立ち入りを許可されだした。
だが、巨人襲来によって受けた人類の打撃は大きかった。
運がいいことに、私の家族や友人は、ヒルラ以外は全員無事だったが、今回のことで家族や友人を失った人達は大勢いる。
今、私達家族は、内門の中で暮らす親戚の家に身を寄せている。
それも本当に運が良かったと思う。
ほとんどのトロスト区内の住人は、邪魔ものだとばかりに顔を歪める冷たい視線に耐えきれず、人の住めるような場所ではないそこで自分の居場所を探す方がマシだと、悪夢が残る場所へ戻ることを願っているのだから―。
(もう二度と…、あんなところになんて行きたくない…。)
トロスト区内への立ち入りが許可されだしたと言っても、それはほんの一部だ。
それに、事務所が巨人による落石で破壊され職を失ってしまったし、住む家ももうない。
トロスト区に戻る理由なんて、故郷だということしかない。