【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第4章 ◇第三話◇存在しない兵士【調査兵団入団編】
そこで、ハンジがピクシス司令と一緒ん考えたシナリオはこうだ。
彼女は、巨人襲来前から調査兵団に入団する予定だった。
実は調査兵団の兵舎内にある訓練所にて訓練をしていて、今後、兵士テストを受けてから兵士となるはずだったが、それよりも前に巨人が襲来してしまった。
多くの兵士が犠牲になったことで、兵士の数が減り、彼女自らが兵士として前線に出ることを志願してくれたので、駐屯兵団は緊急事態だということもあり仕方なくその願いを受け入れた―。
「そんな身勝手な筋書きをその女が受け入れると本気で思ってんのか、クソメガネ。」
リヴァイの睨みが痛い。
分かっている。確かに身勝手だ。自分達の都合しか考えていないシナリオであることは重々承知している。
でも―。
「話は分かった。」
「本当!?エルヴィン、いいの!?」
嬉しそうに顔を明るくさせるハンジに対し、エルヴィンはまだ何かを考えているようではあった。
だが、真っ向から反対しているリヴァイとは違い、少しは受け入れる余地があるようだ。
(君なら受け入れてくれると思ったよ、エルヴィンっ。)
ありえない―とリヴァイがため息をついているが、エルヴィンさえ納得してくれれば問題ない。
どうせ、エルヴィンの指示なら兵士は従わなければならないのだ。ゴロツキ出身のリヴァイでさえも―。
「それで、その筋書きの主人公である彼女がどこの誰かは分かっているのか。」
「あぁ、それは、ワシや彼が彼女と話しているときにいくつかヒントをもらっていてね。」
「ヒント?」
「そう、で、今そのヒントをもとに、モブリットが調査中で―。あ、来たね。」
話の途中で、扉をノックする音がした。
エルヴィンに促されて入ってきたのは、ハンジの待ち人であるモブリットだった。
「駐屯兵団の制服を着ていた民間人の名前が分かりました。
彼女の名前は、・。
トロスト区出身で、駐屯兵団施設近くの事務所で事務員の仕事をしている女性です。」
さすが、仕事はしっかりとやる男、モブリットだ。
これで、彼女の素性も分かった。
後は、シナリオ通りに彼女に演じてもらえば、みんなが幸せになれる。
―彼女以外は。