【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第39章 ◇第三十八話◇仇【調査兵団入団編】
「どうしても殺してぇなら、」
一歩、後ずさろうとしたルルの父親を引き留めるように、ナイフを持つ手に力をこめ、リヴァイが言う。
「おれを殺せ。」
「…アンタを?」
震えながらも、頭に疑問符を浮かべるルルの父親に、リヴァイはチラリとを見てから続ける。
「コイツが何を言ったか知らねぇが、想像はつく。
どうせ、お前らの娘を殺したのは自分だとか言ったんだろ。」
「そうだッ!ソイツが私達の大事な娘を殺した!!
詫びて死ぬくらいしてもらったって、ばちは当たらないだろ!!」
「あぁ、そうだな…。そうかもしれねぇな。」
「だから、私はその娘を殺さないといけないんだ!!
娘の仇をとってやるのが親の務めなんだ!!
分かってるなら、そこをどいてくれ!!!」
リヴァイへの恐怖で忘れていた目的を思い出した父親は、またナイフを持つ手に力を入れた。
だが、それよりも強い力でリヴァイがナイフを握りしめる。
このままでは、リヴァイの手が切り落とされてしまうんじゃないかと心配になるほどに血が溢れ、地面に血だまりを作っていく。
「お前の仇はじゃねぇ。」
「何言ってるんだ!!私は、他の兵士が話してるのをー。」
「お前の娘を殺したのは、おれだ。」
ルルの父親も母親も驚いていたけれど、ハンジはリヴァイがそう言うだろうことは分かっていた。
それはその場を切りぬけるためだけのでまかせではなく、彼の本心だということも。