【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第39章 ◇第三十八話◇仇【調査兵団入団編】
刃を真っ赤に染めたナイフから、血がポタ、ポタと落ちて、地面に赤い滲みを作る。
驚愕した顔で目を見開くルルの父親は、恐怖と驚きで動けない様子だった。
握りしめたナイフは、身体が硬直したせいで手が動かずに離せないだけなのだと思う。
「コイツに刃を向けるのはやめてくれねぇか。」
の心臓にナイフが届く直前、その命を守ったのはリヴァイだった。
ナイフを素手で掴み、すんでのところで刃先がに触れるのを防いだ。
だが、そのせいでその手は血だらけで、止まりそうにない血が地面に落ち続けている。
「あ…、あ…、」
人類最強の兵士をルルの父親が知っていたかどうかは分からない。
知らない人間がいるとも思えないし、きっと知っているはずだ。
だが、ルルの父親がリヴァイに恐怖して震えているのは、きっと彼が人類最強の兵士だからではない。
自分を睨みつける氷のように冷たい瞳、怒りをにじませる低い声、そしてリヴァイの纏う黒いオーラ。
そのすべてが、ルルの父親の身体を芯から冷やし、震わせているのだ。
その怒りを向けられていないハンジ達でさえ、心臓に氷が触れでもしたかのように震えあがっていたほどだった。