【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第37章 ◇第三十六話◇兵士達【調査兵団入団編】
「いない…、いない…、いない…!」
溢れて出てくる内臓とも呼べない赤黒い気持ちの悪い体液の中から、私は必死にルルを探した。
手探りで、腹の中を必死に必死にまさぐった。
でも、そこにルルの欠片すら見つけられない。
この巨人が食べたはずなのに。
どうして、見つからない。
ルルは、どこに行ってしまったのか。
ルルの命は、どこにいった。
まだ、巨人を殺したりないのか。
巨人をすべて駆逐すれば、ルルの命を返してもらえるだろうか。
いつの間にか集まってきていた調査兵達が、巨人の大群と戦っている。
巨人のものか、人間のものか分からない赤い液体が私の顔に降りかかる。
ここにいる巨人だけでも、人間はこんなに苦戦しているのにー。
この世に存在する巨人の数に途方にくれる私の目の前に、大きな手が迫ってきていた。
でも、逃げる気力も、逃げたいと思う心も、私は失ってしまっていた。
「こんな地獄でボーッとしてんじゃねぇよっ!!」
巨人の手が私に触れる直前、私を助けたのはゲルガーさんだった。
私を片腕に抱えたままで、行く手を邪魔する巨人を片手で討伐しながら、巨人の群れから抜け出す。
少し離れたところに下ろされた私は、地面の上に座り込んだ。
そこにあったのは、大切な仲間とただ帰りたかっただけの兵士達が号泣している姿とそんな彼らのために今まさに死んでいこうとしている兵士達の姿だった。
それは、この世で最も悲劇的な地獄だった。