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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第37章 ◇第三十六話◇兵士達【調査兵団入団編】


「っ!助けてくれっ!!」

私の姿に気づいた兵士達が何か言ったのは聞こえた。でも、その言葉の意味は耳をすり抜けた。
だって、その時の私には、彼らの姿なんて見えていなかったからー。
憎しみと恨み、怒りと絶望、この世に存在し得る限りのありとあらゆる負の氷を宿した私の瞳に映るのは、巨人の姿だけだった。
意識のもっともっと奥の方にある心というやつが、私の身体に装備してある立体起動装置を使いこなして、大量の巨人の群れへと飛び込む。
私の心の代弁者と化した2本の腕が、必要以上に深くうなじを削いだ。
ちゃんと返してもらわないと、私はどこにも帰れない。
もう戻れないのだ、なんてことないいつもの日常にー。

「いない…。」

うなじを削がれて倒れていく巨人の腹を割いたけれど、消化器官のないヤツの腹から出てきたのは赤い塊だけだ。
そこに、私が返してもらいたかったルルの身体はなかった。
それならー。
私は、立体起動装置のガスを吹かし、アンカーを飛ばす。
超硬質スチールを振り回し、巨人のうなじを削いでは腹を切りまくる。
1体、2体、3体、4体、5体ー。
数えるのも面倒なくらいの巨人を殺した。
それなのに、何体殺しても、そこにルルの姿はなかった。
見つからない。
ルルの命が、どこにもない。
あと何体殺せば、ルルは見つけられるのだろう。

「見つけた…!」

死んだ巨人が上げる蒸気と、多数の巨人の中から見つけたのは、私達からルルを奪ったあの巨人だった。
巨人を見つけて嬉しいと思うなんて、これが初めてだ。
やっと、私はルルを助けられる。
きっと、大丈夫。
私はまた、ルルと会える。
一緒に帰れる。
遅れてごめんって謝って、ルルに叱ってもらって、そしてー。
全速力でガスを吹かして、私は、忌々しい巨人へ飛び掛かりうなじを削いだ。
そして、仰向けに倒れたソイツの腹の上に飛び降り、腹を割く。

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