【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第4章 ◇第三話◇存在しない兵士【調査兵団入団編】
調査兵団の団長、エルヴィンの執務室には異様な空気が流れていた。
ハンジの話が終わっても、誰も口を開こうとはしなかった。
エルヴィンは話の真偽を見極めるかのようにハンジをじっと見据え、壁沿いに置かれた椅子に足を組んで腰掛けるリヴァイはただひたすら天井を睨みつけていた。
この話を持ってきたハンジでさえも、いまだに信じられずにいるのだから、この反応は想定通りだし、仕方がないと思っている。
だが、ハンジの思惑に反し、隣に立つ駐屯兵は不安そうにしている。
「信じられん気持ちも分かるが、あのとき、兵士ではない民間人が
トロスト区奪還作戦、そして、トロスト区内の巨人掃討作戦に従事していたのは事実だ。
何より、ワシがこの目で彼女を見ている。」
異様な空気を打開すべく、ピクシス司令が口を開いたことで、エルヴィンの視線はハンジからピクシス司令へ移った。
「で、その民間人だと言い張る女を無理やり巨人の前に引っ張っていった挙句、
駐屯兵の多くがその民間人に命を助けられた、と。
そんな情けない話を聞かせに来てくれたってわけか。」
棘のあるリヴァイの言い方に、巨人の前に引っ張り出した張本人である駐屯兵がすぐに反応した。