【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第36章 ◇第三十五話◇無情にも届かない手【調査兵団入団編】
数日を予定していた大規模な壁外調査も今日の作戦が終われば、残すのは明日の帰還だけだ。
ミケ分隊長の分隊によってシガンシナ区までのルートもおおよその検討がつくようになり、巨人捕獲班もこれまでに2体の巨人捕獲に成功している。
ルート模索班に犠牲が出たのは確かだが、エルヴィン団長の話によれば想定よりも少ないそうだ。
「何かあったんですかね?」
今日も、私とリヴァイ兵長は待機班を残し、巨大樹の森の入口にやってきていた。
巨人も10体ほど集まってきていて、後はハンジさんが撃つ準備完了の煙弾を待ってスタートするだけなのだが、なかなかその合図が来ないのだ。
「チッ、俺が見てくる。お前はここで待ってろ。」
「巨人はどうしたらいいですか?
数体はリヴァイ兵長を追いかけますよ、きっと。」
「好きにさせとけ。おれも好きにする。」
リヴァイ兵長はそれだけ言うと、アンカーを飛ばしてエレン達が待つ広場へ向かった。
予想通り、数体がその後姿を追いかけていったが、姿が見えなくなる前に、あっという間に倒されていた。
さすが、人類最強の兵士だ。
「追いかけっこはもう少ししてからだって。」
木の上で足を投げ出して座り、私は眼下に残った巨人達に向かって言った。
残ったのは4体。
いつもならとっくに煙弾が撃たれている時間だ。きっと、作戦が遂行できないような何かが起きたのだろう。
心配だけれど、勝手な行動をとって迷惑かけるわけにはいかない。
エレン達のことは気になるが、ハンジさんもいるし、リヴァイ班の精鋭達も一緒だ。
それに、リヴァイ兵長が向かった。彼に任せていればきっと大丈夫。
(大丈夫、大丈夫。)
眼下の巨人の動きに注視しながら、そればかりを繰り返していると、後ろから立体起動のガスの音がした。
リヴァイ兵長が戻ってきたのかと思ったが、違った。