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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第34章 ◇第三十三話◇酔っぱらいの願い【調査兵団入団編】


最初に見えたのは、見覚えのある白いスカーフだった。珍しく乱れているそれと兵団服のシャツ。
そこからゆっくりゆっくりと視線を上げていくとー。

「ようやく起きたか、この寝坊野郎が。」
「…あ。」

私を見下ろして睨みつけるリヴァイ兵長を見て、ようやく昨晩のことを思い出した。
リヴァイ兵長が持ってきたお酒をコンラートさん達と一緒に呑んでいたんだった。
途中から記憶がないけれど、どうやら眠ってしまっていたらしい。

「ひとつ、聞いていいですか…?」
「なんだ。」
「私…、リヴァイ兵長を襲いました?」

私は、リヴァイ兵長を抱きしめて眠っていたようだった。
リヴァイ兵長の腕も私の腰に回って、抱きしめている。
寒さをしのぐためだと思われる緑のマントが、ふたりの上に心許なげにかかっているが、あまり役に立ったとは思えない。
たぶん、私はリヴァイ兵長の腕の中で風から守られていたんだと思う。

「逆だとは思わねぇのか。」
「あ…、思いつきませんでした。」

不憫そうな瞳で見下ろされて、無性に切なくなる。
これが現実なら、どう考えても、襲うのは自分だとしか思えない。
だが、リヴァイ兵長が腕を離しながら教えてくれた現実はもっと残酷だった。
寝ながら寒い寒いとうるさい私を大聖堂の中に連れて行こうとしても頑なとしてコンラートさん達と寝ると譲らず、挙句の果てには、リヴァイ兵長に抱き着いて暖を取り始めたそうだ。
そして、風から自分を守ってくれとリヴァイ兵長に抱きしめることも強要したことが、目覚めたときの状況に繋がったらしい。
身体を離したリヴァイ兵長は、立ち上がると足元に転がっていた酒の瓶を拾い始めた。
その姿を眺めながら、寝起きでボーっとする頭で、私は最後の記憶をよみがえらせていた。
それは、夢みたいな出来事で、現実なのか夢なのかハッキリしない。
私はそっと自分の唇に触れた。

「あの…。」
「なんだ。」
「夢、かもしれないんですけど、
 昨日の夜、私にキス、しました…?」

訊ねてから、後悔した。
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