【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第34章 ◇第三十三話◇酔っぱらいの願い【調査兵団入団編】
嫌ですーそう言ったら、リヴァイ兵長はどうするんだろう。
困った顔をするのだろうか。
ぼんやりする頭で、リヴァイ兵長の真意を探そうとしたけれど、そんなのハッキリしている頭でも無理に決まっている。
人の気持ちなんて、分かるわけない。
そうか。だから、みんな、恋をすると苦しいのか。
「リヴァイ兵長…、私はー。」
「いや、答えなくていい。」
「え?」
「忘れろ。」
リヴァイ兵長はそう言って、瓶の中に残っていたお酒をすべて口の中に流し込んだ。
自分が数秒前に吐いた言葉も一緒に呑み込むみたいにして一気になくなったそれを、足元に乱暴に捨てる。
転がって空になった瓶にぶつかって止まったそれが、まるで私の心みたいに見えた。
胸が痛くなって、苦しくなって。
そう、お酒も飲んでいたから、酔っぱらっていたから。
きっと、それは私のせいではなくてー。
「いやです…!」
リヴァイ兵長の腕を捕まえて、私は彼に懇願しようとしていた。
重荷を背負わせたくない、と優しいペトラは言っていたっけ。
でも、私には、無理みたいだ。
いきなりの私の行動に驚いたリヴァイ兵長と目が合う。
私は今から、何を言おうとしてるんだろうー。
「私は…っ!いや、です…!」
「酔ってんのか、てめぇ。」
「死んだら星になるなんて、そんなのいやですっ。」
「…は?」
「知ってますか?星は…、喋らないんです…。」
「…だろうな。おい、お前、酔ってるだろ。」
リヴァイ兵長にため息を吐かれても気にならなかった。
私は、星になった彼らのことを想って、怖くなっていたから。
だって、いつだって、彼らは聞き役だった。
何を話しかけても、絶対に返事はしてくれない。
触れることも出来ない遠い場所で、ただ見てるだけだ。
そんなのってー。