【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第34章 ◇第三十三話◇酔っぱらいの願い【調査兵団入団編】
それから私達は、見えないけれど確かにそこにいる彼らとの思い出をポツリ、ポツリと話し出した。
「ーそしたら、ゲルガーさんの自慢のリーゼントがお酒でしおれちゃって。」
「それは災難だったな。」
「怒ってるんですけど、頭がしおれてるから全然怖くないし、
むしろ面白くって、みんなで大笑いしちゃって。」
「本当に、災難だな。」
私とリヴァイ兵長は、胸に残る限りの彼らとの思い出を話し続けた。
いつの間にか空になった瓶が足元に転がっていて、残っているのは私とリヴァイ兵長の手に残っている瓶だけ。
それも、あと数口分くらいしか入っていない。
お酒の熱で頭がぼんやりしていく代わりに、星になった彼らの姿が鮮やかに見えるようになって、すごく楽しい。
そして、思い出話が途切れて少しの沈黙が流れた合間に、リヴァイ兵長は思いがけない方向に話題を変えた。
「昨日の夜のこと、おれに訊かねぇのか。」
「…それは、リヴァイ兵長とペトラのことで、
私には関係のないことですから。」
本当は訊きたくてずっとウズウズしていたくせに、私はそう言って、折り曲げた両膝を抱きしめて、目を伏せる。
訊きたい。
でも、知りたくない。
2人が唇を重ねたなんて、想像もしたくない。
恋の終わり方が分からなくて、頭が痛い。
「お前はいいのか?」
「ん?」
何のことだろう、と思って、両膝に顔を埋めたままで、リヴァイ兵長を見た。
「おれがペトラに手を出しても構わねぇのか。」
リヴァイ兵長は、どうしてそんなことを私に訊くんだろう。
身体が熱くなっていくのは、お酒のせい。
それとも、おかしなことを訊いてきたリヴァイ兵長のせいだろうか。