【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第34章 ◇第三十三話◇酔っぱらいの願い【調査兵団入団編】
「おれも混ぜろ。」
後ろから声をかけられた。
両手にお酒の瓶を持ってやってきたのは、リヴァイ兵長だった。
「お前らはよく戦った。これ飲んで、もう休め。」
瓶の蓋を開けて、リヴァイ兵長はお酒を並べた。
まるで、そこに彼らがいるみたいだった。
すぐそこに座って、意外な人物からの労いに驚きながらも嬉しそうにお酒の瓶を傾けている彼らの姿が、ほんの一瞬、本当に見えた気がしたのだ。
「嬉しそうですね。」
「だろうな。」
嬉しそうだったのは、私かもしれない。
クスクスと笑う私に視線を落とした後、リヴァイ兵長も酒の瓶を1つとって口に注いだ。
「リヴァイ兵長も飲むんですか?」
「誰か飲まねぇとなくならねーじゃねぇか。」
そこは現実的なんだー。
当然のように言ったリヴァイ兵長が可笑しくて、笑ってしまった。
そしたら、今度は、彼らの豪快な笑い声まで聞こえてきて。
あぁ、一緒にいるんだーと思った。
そういえば、前にヒルラから、調査兵団の自由の翼の意味を聞いたことがある。
白い翼は、人類の希望を背負った兵士が1人1人集まってできた翼。
黒い翼はー、兵士の命を1つ1つ喪って出来た翼なのだ、と。
私達の背中になびく自由の翼に、歴戦の勇士達がいるのだと思うと、さっきよりも強くなれたような気がするから不思議だ。
「お前も飲め。」
「はい、いただきます。」
リヴァイ兵長からお酒の瓶を受け取って、口に運ぶ。
普段は飲まないような強いお酒に、喉の奥が熱くなったけれど、なんとか流し込んだ。
私の歓迎会のときにはひたすら紅茶を飲んでいたから下戸だと思っていたけれど、平然と強いお酒を呑んでいるリヴァイ兵長は、意外とお酒に強いようだ。
「そういえば、壁外調査にお酒なんて持ってくるんですね。」
「不届き者がな。」
どうやら、こっそり持ち込まれたお酒らしい。
チッと舌打ちをしたリヴァイ兵長だったけれど、部下の息抜きに目を瞑っているようだ。
リヴァイ兵長が気づいているのなら、エルヴィン団長も気づいていないわけはないから、暗黙の了解のようなものがあるのかもしれない。