【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第30章 ◇第二十九話◇相応しいパートナー【調査兵団入団編】
「お疲れさま。大変そうだな。」
声をかけてきたのはグンタだった。
地面に座り込んだ私のもとに、他のリヴァイ班のメンバーもやってきた。
彼らも巨人化実験と合わせて行っていた訓練が、休憩に入ったようだ。
「それにしても、リヴァイ兵長の訓練は厳しいなぁ。
見てるこっちもキツそうだと思ったよ。」
「仕方がない。の実力で、リヴァイ兵長と同等の任務をこなすのは厳しい。
ここまでしても、足りないくらいだ…。」
「そもそもどうしてリヴァイ兵長は、この俺ではなくを選んだのか。
俺には分かっている。そう、俺にはな。」
「ハンジ分隊長が推したからだと聞いてるぞ。」
「もあの人の下についたばっかりに、
大変な役目を押し付けられて可哀想にな。」
彼らが、私の心配をしてくれているのはもちろん分かっている。
でも、壁外調査でリヴァイ兵長と同じ配置をされたのが私だと聞いてからの彼らの目の色は僅かに変わった。
尊敬するリヴァイ兵長と同じ配置ではなかったことの落胆と、なぜお前なのかという困惑と敵意。
私は認められていないー、リヴァイ兵長のパートナーとして。
そんなの最もだ。
だって、リヴァイ兵長だって―。
「リヴァイ兵長も、ペトラとかエルド達の方が相応しい配置だって言ってたし
私もそう思うんだけど…。任されたからには、必死に頑張ー。」
「いいよね。は。」
私の話を遮った冷たい声。
顔を上げて顔を見るまで、それが誰のものか分からなかった。
いや、顔を見ても、私を見下ろす冷たい瞳が、ペトラのものだと理解するまでに頭が追いつかなかった。
「ハンジさんのお気に入りってだけで、リヴァイ兵長のパートナーになれるんだから。
それなら、私も必死に訓練するんじゃなくて、ハンジさんのご機嫌取りをすればよかー。」
「ペトラ、お前、何言ってんだ。」
グンタに肩を握られ、ペトラは目を見開いた。
色を失った氷みたいだった瞳に光が戻ったように見えた途端、ペトラは私から目を反らした。
「ごめん、頭冷やしてくる。」
ペトラは、誰の顔も見ないまま、背を向けてしまった。
その後ろをオルオがオロオロした様子で追いかけていく。
エルドとグンタは戸惑った様子で、私とペトラ達の背中を交互に見るけれど、何も言わない。
同じことを、思っていたのかもしれない。