【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第28章 ◇第二十七話◇好きになってもいい人ですか?【調査兵団入団編】
「なんだ、そうだったんですか。」
私の口の端は限界まで上がって、笑みをおさえることは出来なかった。
だって、リヴァイ兵長とペトラが恋人同士じゃないと分かったことが、こんなに嬉しい。
ズルい聞き方だったけど、でも、真実を知れてよかった。
あの日、私が見たのは、ペトラの目に入ったゴミをリヴァイ兵長がとってあげようとしていたところだったなんて。
それを説明する面倒くさそうなリヴァイ兵長も含めて、よくあるラブコメディの小説みたいで、笑えない方がおかしい。
「リヴァイ兵長とペトラのツーショット写真見たことあるんです。
それで、ずっと2人は恋人だと思ってたんです。」
「あー、父親に手紙送るのに、おれの班に選ばれた証拠が欲しいからと
無理矢理、写真撮らされたな。」
あの写真の真相もちゃっかり分かってしまった。
なんだ、そういうことか。
分かったら、なんてことなくて、ホッとしたのと同時に悩んでた自分がバカみたいで可笑しくなる。
「じゃあ、リヴァイ兵長には恋人いないんですか?」
「…てめぇは、どうしてもおれにうなじを削がれてぇらしい。」
リヴァイ兵長にこれでもかというほど睨まれてしまった。
それなのに、嬉しい私はどうかしているのだろう。
まさか、と笑う私にチッと舌打ちをして、リヴァイ兵長は芝生の上に寝転んだ。
「寝る。お前が帰るときでいい、起こせ。」
自分の腕を枕にしたリヴァイ兵長は、私に背を向けて眠ってしまった。
木陰から空を見上げると、優しい風が葉を揺らしていた。
夕日が見えだしたら、リヴァイ兵長を起こそう。
そうしたら、もうしばらく、こうして隣にいられる。
そうしたら、赤く染まる頬を夕日がうまく隠してくれるだろうから、私はまっすぐにリヴァイ兵長の顔を見つめられそうな気がする。
優しい風が吹いて、眠るリヴァイ兵長の髪が揺れた。
最初から、近くて遠い人だった。
恋をしたら、その距離はもっと広がっていった。
まさか、自分が人類最強の男を好きになるなんて、思ってもいなかった。
叶わない恋かもしれない。
きっと、苦しいだけの恋なのだろう。
でも、好きになったらいけない人ではなかった。
いいんだ。すごく好きで、好きでいてもいいんだ。
リヴァイ兵長の髪を揺らした風が、私の頬を撫でる。
もう少し一緒にいたい、そんなことを願える、私は今、とても嬉しい。