【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第28章 ◇第二十七話◇好きになってもいい人ですか?【調査兵団入団編】
リヴァイ兵長は、カラネス区からの帰りだったそうだ。
すぐそこまで迫っている壁外調査の出発地点の視察のためらしい。
特に問題もなく、予定通りに出発できそうだと教えてもらったけれど、素直に良かったと喜んでいいのかは分からなかった。
「どうして新兵の参加が中止になったんですか?」
馬小屋で偶然会ったミカサに怖い顔で睨まれたのを思い出して、リヴァイ兵長に訊ねた。
新兵の壁外調査の参加は中止になったとはいえ、巨人化したエレンの巨人捕獲作戦については予定通り行うことになっている。
エレンが行くのなら自分も行く、と荒れ続けているミカサにアルミン達は困り果てている様子だった。
「エルヴィンがそう判断した。何か考えがあるんだろう。」
「そうでしょうけど…。」
何を言っても、リヴァイ兵長から望むような答えはもらえない気がして、私は口を噤む。
新兵勧誘式であんなに脅しておいて、やっぱり連れて行かない、なんて勝手すぎる。
命を懸ける覚悟をしてやってきた彼らにとって、寿命が少しだけ延びたねなんて言えるようなものではないのだ。
私が黙れば、口数の多くないリヴァイ兵長との会話はなくなる。
沈黙が訪れたけれど、柔らかく流れる風が頬を撫でてくれるおかげで、あまり気にならなかった。