【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第28章 ◇第二十七話◇好きになってもいい人ですか?【調査兵団入団編】
ストヘス区から戻ったのは翌日の早朝だった。
ハンジさんにそのまま休みをもらい、さっきまで寝ていた私は、少し早い昼食をとってから馬小屋へ向かった。
自分の馬の調子を見るためだ。
餌やりは飼育係がしてくれているが、ブラッシングなんかの馬とのコミュニケーションは自分でした方がいいとナナバさん達から教えてもらった。
「テュラン、散歩は気持ちいい?」
手綱を持って、隣を歩く自分の馬、テュランを見た。
返事はなかったけれど、楽しそうに見えるから良しとしよう。
壁の中の世界に嫌気がさして外に出たがる調査兵達と同じ。
狭い馬小屋の中にいるより、広い芝生の上を自由に歩き回る方が気持ちがいいに決まっている。
旧調査兵団本部の周りは森かだだっ広い草原だった。
散歩にちょうどいいと思って、ナナバさんに許可をもらって連れてきたけれど、正解だった。
トロスト区の調査兵団兵舎ではこんなに自由な散歩は出来なかったから、彼にとっても気分転換になって良かったと思う。
「休憩しようか。」
大きな木とそのそばを流れる小川を見つけた私は、その木陰で休むことに決めて手綱を引っ張った。
まだ歩きたいらしいテュランに抵抗されたけれど、休憩が終わったらまたたくさん散歩をすると約束して、なんとか休ませてもらえることになった。
彼が納得したのかは分からないが、対人格闘術のアニの指導で筋肉痛になったせいで、長い時間歩き続けられない私の体力のなさは、誰よりも理解しているだろうから諦めたのかもしれない。
テュランの手綱は小川のそばにある木に結び付け、私は大きな木に背中を預けるようにして座り込む。
小川の水を飲みだしたテュランを眺めながら、ここ最近あったすべてのことを思い返していた。