【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第27章 ◇第二十六話◇104期の新兵達【調査兵団入団編】
旧調査兵団本部の食事室は、朝から騒がしい。
特に新兵が来るようになってからは、サシャがひとりで騒がしい。
今日もコニーのパンをくわえて逃げ回っている。
怒って追いかけるコニーと囃し立てる兵士達の大声が離れた席にいる私達のところまでしっかり届いてくる。
「今日からまた訓練なんだっけ?」
「うん。なんかわかんないけど、急にハンジさんが訓練中心に変えてって言い出して。」
壁外調査まであと1週間と少しとなって、長距離索敵陣形の最終テストも数日後に受けるはずだった。
だが、2日前の夜、私の部屋を訪れたハンジさんに、長距離索敵陣形の授業は中止となり、壁外調査までは訓練を中心に行うようにと言われたのだ。
それだけではない。
104期の新兵達なんて、壁外調査への参加自体への中止を命じられたらしい。
気が抜けたとか、ホッとしたところもあるのだろうが、その反面、ショックだったとも思う。
覚悟を決めて調査兵団への入団を決めたのに、出端をくじかれたと思っただろう。
「ルルはお父さんの誕生日パーティー楽しんできてね。」
「そんな豪勢なものじゃないけどね。」
ルルが照れ臭そうに頬をかく。
ハンジさんにお願いしてシフトを調整して、父親の誕生日に合わせて非番をもらった今日を、彼女が幸福に過ごせたらいい。
可愛い娘が企画してくれた誕生日パーティーだなんて、父親もさぞかし嬉しいだろう。
調査兵団に編入することをあまり快くは思ってはいなかったらしいから、ご機嫌取りだと言っていたけれど、企画を考えてる時のルルは父親の幸せをただ純粋に想う娘だったから。
「あれ?ハンジさんじゃない?」
ルルに言われて、食事室の入口の方を見ると、キョロキョロと部屋の中を見渡しているハンジさんの姿を見つけた。
誰かを探しているようだ。
「どうしたんだろうね?」
「さぁ。私じゃなかったらいいなぁ、て思うだけ―。」
「あーっ!いたーっ!!」
ハンジさんが見つけたのは、残念ながら、私だった。