【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第27章 ◇第二十六話◇104期の新兵達【調査兵団入団編】
「もしかして、何かあった?」
もしも、ルルが好奇心で聞いているのなら、私は何も話さなかったかもしれない。
でも、心配そうに訊ねるその姿が優しくて、何を言っても受け止めてくれるような気がした。
母親との久しぶりの再会の場であったことをすべて話すと、ルルはじっと聞いてくれた。
「リヴァイ兵長は、私は逃げなくて強いって言ってたけど、違うの。
私が逃げ出したいときとか、助けてほしいときは、いつもリヴァイ兵長がいてくれた。
だから、私はここにいるだけなの。」
好きだと認めるのが怖くて、ずっと考えないようにしていた。
でも、リヴァイ兵長を好きになってしまう理由なんて、本当はいくらでもあって、どんなに否定したって無駄だったのだろう。
リヴァイ兵長の仕事を押し付けられたのは本当に腹が立ったけれど、あのときの私は、調査兵団内に居場所がなくて、ハンジさん達がそばにいなかったらいつもひとりぼっちだった。
任務が終わる夜になると、他の兵士達はお互いの部屋を行き来したり、談話室でお喋りしたりしていた。それがすごく羨ましかった。
でも、一緒にそれを叶えてくれる友人のいない私は部屋に戻るしかなくて、そうすると楽しそうな声が聞こえてきて、孤独を思い知らされた。
だから、リヴァイ兵長が私に無理やり仕事を押し付けてくれたのは、本当は有難かった。
あのときだけは、悲しい気持ちを忘れられたし、適当なアドバイスだったとしても相談できる相手がいるというだけで、なんだか強くなれた気がした。
思い返せば、いつも、私がツラいときにはいつもリヴァイ兵長がいた。
だからこそ、吊り橋効果なんて言葉があるみたいに、これはただの気の迷いだって思いたかったけれど、もうどっちでもいい。
どっちにしろ、好きになってしまったのだから、取り返しはつかないのだ。
ただ―。
「恋人がいるのに…、最低な嘘吐かせちゃった。」
たいして柔らかくない枕を押し付けて、情けない顔を隠した。
「ねぇ、あれからずっと、リヴァイ兵長とペトラのことを見てるんだけどさ。
私には、あの2人が恋人同士のようには見えないんだよね。
どっちかって言うと…。」
そこまで言って、ルルは口を結んでしまった。