【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
「でも、この子は子供の頃から器用で何でも出来たんですよ。
運動も勉強も得意で、学校でもお友達がたくさんいてね。」
「ちょっとっ、やめてよっ!そんな親バカみたいなことっ!」
「だって、私が言っておかなくちゃ。
アンタは昔から気が強くて、誤解されて困ったら大変でしょう。」
突然、私の自慢話を始めた母を慌てて窘めるけれど、必要なことだとやめてくれない。
親バカ丸出しの自慢話をハンジさんだけならまだしも、リヴァイ兵長にまで聞かれるなんて最悪だ。
恥ずかしいなんてレベルじゃない。
もう泣きたい、逃げ出したい。
「確かに、気は強ぇ。」
リヴァイ兵長が、少し意地悪く口元を歪めた。
あぁ、もう最悪だ。
そんな風に思われていたなんて知らなかった。
少なくとも、調査兵団の2トップであるエルヴィン団長とリヴァイ兵長には、しおらしく接していたつもりだった。
気の強いようなことをした覚えがない。
きっと、それが私の気の強さの悪いところなのだろう。
無意識に何かやらかしているのか―、初めて会ったときの態度が悪すぎた事実を消すことも出来ない。
「。」
「…ごめんなさい。」
母に睨まれて、私はこれでもかというほどに身体を縮めて謝る。
旦那さんに何をやらかしたのか、ということを言っているのだろうが、実際は、上官に何をやらかしたのだ、ということであって。
とにかく謝罪が必要な事態であることは事実だ。
「でも、料理は得意なんですよ。
子供のころから、私達夫婦の帰りが遅いと兄弟の食事の支度をしててくれて、
とても助かったんです。」
母がいろんな人に話す、私の子供の頃の自慢話だ。
そんなこと、自分もお腹がすいたから、仕方なくしていただけなのに、母は今でもこうして嬉しそうに話す。
そんなことを他人が聞いたって、困るだけなのに。
でも、ハンジさんもリヴァイ兵長も嫌な顔一つしないで、親バカ話に耳を傾けてくれた。
本当に、いい人たちだと思う。
でも、正直な2人のせいで、兵舎では料理を一切していないことが母親にバレて叱られた。
「じゃあ、リヴァイも今度、可愛いお嫁さんに料理を作ってもらわないとねっ!」
今日、幸せそうだったのは母だった。
でも、一番楽しそうだったのは、ハンジさんだと思う。