【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
「ちょっ、ちょっと、リヴァイっ!君は何を言ってるんだよっ!
いや、お母さん、リヴァイって冗談は言うんだけど、下手でねっ!」
ハンジさんが、冗談で流そうとはしてるみたいだけど、笑い声が虚しく響くだけだ。
母親は完全に引いているし、何かを疑い出したかもしれない。
私が、腹を括るしかない。
「あのね、お母さ―。」
「結婚ってのを他の奴らが何を思ってするのかはしらねぇが、
おれも、アンタの娘も、自分で選んで決めてここにいる。
そもそも、おれは、妥協はしねぇ主義だ。」
「はぁ…。」
母は困惑していたけれど、私はその母よりもパニックになっていた自信がある。
リヴァイ兵長は、何を言っているのだろう。
もしかして、私の嘘に付き合ってくれたのだろうか。
言ってる意味がさっぱり分からないけれど、そんな気がする。
首を傾げる私の隣で、ハンジさんがフフッと笑うと、嬉しそうに口を開いた。
「リヴァイはね、こう言いたかったんですよ。
他の人はどうでも、自分達はお互いが好きになって結婚しただけであって、
娘さんでいい、じゃなくて、娘さんが良かったんですよ、って。」
「あ…!」
とてつもなく楽しそうなハンジさんの言葉に、母は驚いていたけれど、私はそれよりも驚いていた自信があるし、心臓が飛び出そうだ。
そうだよね、とハンジさんに確認されて、リヴァイ兵長は仕方ないという顔で頷いている。
やっぱり、リヴァイ兵長は、勝手な都合の私の嘘に付き合ってくれたのだ。
嘘だと分かっているのに、胸がドキドキしてる。
嘘だと分かっているから、そんな自分の心臓の音も無性に虚しくなる。
「さんには、人類最強の兵士がついているから、
ご安心くださいっ。」
「えぇ、そうみたいですね。」
ハンジさんがリヴァイ兵長の背中をバシッと叩くと、すごく怖い顔で睨んでいたけれど、母はすごく嬉しそうだった。
ルーカスにプロポーズをされて、家族みんなで内地に引っ越せると言ったときは、喜んでいいのかわからないって顔をしていたのに。
私達の嘘を聞いた母は、なんだかとても幸せそうで、私は―。