【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
「リヴァイ兵長もこんな娘で本当に良かったんですか?
あなたならもっと素敵な人がいたでしょうに。」
母が申し訳なさそうに訊ねる。
私は母以上に、申し訳ない気持ちになっている自信がある。
リヴァイ兵長は、こんな娘のことを嫁に欲しいなんて望んだことなんて一度もないし、もっと素敵な人が現在進行形でいる、のだ。
「お母さんっ!お願いだから、本当にもうやめてっ。」
「だって、本当のことでしょう?
私は母親だからあなたが可愛いけれど、お嫁さんにふさわしいかって言われたら…。
自信がないわ。」
「そんなに堂々と自信がない宣言しないでよ。
あなたの娘でしょうに。」
「娘だから、でしょう。
あなたが人類最強の兵士を支えられるだけのお嫁さんになれる自信あるの?」
「…ありません。」
母のため息に、殴られた気分だ。
これは何の罰だろう。昨日、仲睦まじい恋人たちの邪魔をした自覚ならある、でもだからってこんなにひどい罰を受けるほどのことだろうか。
そんなことを思うから、私は最低なんだろう。
でもこれでは、公開処刑でもされている気分だ。
「兵士長さん、本当にうちの娘でいいの?
返却したいのなら、今からでも大丈夫ですよ。
私達はいつでも、トロスト区へ戻ることできますから。」
母は、またリヴァイ兵長に返事を求める。
チラリとリヴァイ兵長を見たら、母親の方をまっすぐに見ていた。
その瞳からは、彼が何を考えているのかを読むことは出来ない。
「もういいでしょ。私のおかげで内地に住めてるんだからー。」
「アンタの娘でいい、なんて思ったことも
支えてもらおうと思ったことも、一度もねぇ。」
「え?」
リヴァイ兵長の発言に、その場が凍り付いたのを感じた。
自分から訊ねた母も、驚いて言葉をなくしたようだった。
やっぱり、さっき、ちゃんと本当のことを言うべきだったのだ。
私は今、リヴァイ兵長に言わなくてもいいことを言わせて、母を無駄に傷つけた。
そして、私も―。