【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
「昨日は、」
リヴァイ兵長の声がして、名簿から顔を上げた。
他の誰かに声をかけたのかとも思ったけれど、窓の外を見ていた瞳がこちらを見ていたから、私で間違いなかったのだろう。
「どうしました?」
「昨日は、お前は何しにあそこに来たんだ。
何か用があったんじゃねぇのか。」
「あー…、何か飲み物ないかなぁって行っただけですよ。
キッチンに入ってすぐにティーカップ割っちゃって、それどころじゃなくなっちゃったけど。」
作り笑いで誤魔化した。
昨夜の医務室でも、私が何かを聞いていないかをリヴァイ兵長は確認したがっているようだった。
どうしても、ペトラと恋人であることは秘密にしておきたいのだろう。
同じ兵団で恋人同士という人もいるだろうが、リヴァイ兵長のように立場がある人だと、簡単に恋人も作れないのかもしれない。
でもそれは、私には関係のないこと。
何も関係ないことなのだ。
「そうか、残念だったな。」
「いえ、昨日は本当にすみませんでした。
邪魔してしまってー。」
そこまで言ってしまってから、余計なことを口走ったと後悔した。
チラリとリヴァイ兵長を見ると、答えに詰まっているように見えた。
やってしまった―。
「、おれとペトラは―。」
「あっ!包帯外したんです、私っ!ほらっ!」
私が何かを見たかもしれない。そう結論付けて、自分達は付き合っているとか、見なかったことにしてほしいとか、そんなことを言おうとしたんだろうか。
忠告されなくたってそんなこと誰にも言わないし、聞きたくもない。