【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
ストヘス区へ向かう馬車の中は、緊張感に包まれてー。
いなかった。
「それでねっ!エレンは少しずつ自我を保つことが出来るようになったんだっ!」
鼻息荒いハンジさんは、さっきからずっとエレンの巨人化実験の成果をエルヴィン団長に語っている。
ハンジ班から報告書が届いているはずなのだが、そういうことは頭からすっぽり抜けているのかもしれない。
窓の外を眺めながら、適当に相槌を打っているエルヴィン団長は、たぶん違うことを考えているのだと思う。
難しい顔をしているから。
私の隣に座るリヴァイ兵長は、窓枠に腕を乗せて、エルヴィン団長よりも興味なさげに窓の外を眺めている。
一緒に実験に参加しているわけだから、当然と言えば当然。
書記としてモブリットさんと一緒に参加している私も同じで、手持ち無沙汰で、今さら覚えられそうにない名簿をただなんとなくめくっていた。