【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
誤魔化すように笑って見せた私の指を、リヴァイ兵長はチラリと見ただけですぐにつまらなそうに窓の外に視線を戻した。
「もう痛くねぇのか。」
「大丈夫ですっ。
包帯のまま会議に参加するわけにもいきませんから。」
「まぁ、そうだな。」
あまり興味がないのかもしれない。
これがペトラの傷だったらー、そんなことを考えてすぐに思考を止めた。
昨日からずっと、自分とペトラを比べてばかりだ。
もう何年も調査兵としてリヴァイ兵長を支えてきた彼女に、私の何が勝るというのだろう。
それに、もしも万が一、彼女より勝るものがあったとして、だから何になる。
リヴァイ兵長の心にいるのはペトラである時点で、私はもうすべてにおいて負けていることに変わりはないのだ。
そもそも恋なんてものは、勝ち負けではなくて。
ていうか、そもそも、これは恋じゃない。
「気の迷いに決まってる!!」
ハッと思ったときには、嬉々としてエレンの実験結果を話してたハンジさんも、難しい顔をして話を聞いていたエルヴィン団長も、興味なさそうに窓の外を見ていたリヴァイ兵長も、驚いた顔を私に向けていた。
「…巨人捕獲作戦をエレンに協力してほしいって気持ちは、
気の迷いじゃない自信があるんだけどな。」
眉尻を下げて、ハンジさんが悲しそうに言った。