【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
「指はもう大丈夫か。」
私の指を見ながらリヴァイ兵長が訊ねる。
ついさっきのペトラとそれが重なって、また胸が痛くなる。
「はい、大丈夫です。ご心配をおかけしてすみませんでした。」
私が頭を下げているのを見て、ようやくハンジさんも大げさにまかれた包帯に気づいたようだ。
大怪我でもしたようなそれに驚いて心配するハンジさんに、昨日のことを簡単に説明すれば、ホッとしたようだった。
包帯なんて大袈裟だとリヴァイ兵長をからかうから、余計に恥ずかしくなる。
「今日はリヴァイ兵長も行くんですね。」
「来てほしくなかったみてぇな言い方だな。」
心の中を見透かされたような気がして、焦った。
でも、実際はどうなんだろうか。
全然、見えていないんだと思う。
リヴァイ兵長も、私も―。
「エレンの監視役なので、ここを離れられないかと思っていたんです。」
「アイツのことならペトラ達に任せてある。問題ねぇ。」
リヴァイ兵長はそう言って、ペトラに目配せをした。
自信満々に頷く彼女が、なんだか嬉しそうで、それが可愛らしくて、私の中に気持ちの悪い何かが湧きあがっていくのを感じた。
嫌な感じだ。
プクリ、プクリ、と出来物でもできるみたいに、自分がどんどん醜くなっていく気がする。
「どうかした?」
ペトラに訊ねられて、ハッとする。
「ううん、何でもないの。」
慌てて作った笑顔は、私史上きっと一番不細工だったはずだ。