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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第21章 ◇第二十話◇誤解を解く【調査兵団入団編】


どうして助けに行ったのか―。
初めにそう尋ねたとき、知りたかったのは、兵士としての答えではなかったと思う。
人間としての答えが、聞きたかったのだ。
どうして、自分を嫌っている相手を命を賭して助けに行けたのか、と―。

「私は別に嫌いでも好きでもないですから。」
「じゃあ、は、好きでも嫌いでもない人間を命を懸けて助けたのかい?」
「私にはそうでも、彼女は誰かにとって命を捨てても惜しくないほどに大切な人でしょう?」
「え?」
「私、トロスト区奪還作戦の時に思ったんです。
 この世界は尊い命で溢れているのに、
 どうして誰かの都合でその命が奪われないといけないんだろうって。」
「…そうだね。」
「人類のために、とか。調査兵団のために、とか。そんな大きなことは分かりません。
 でも、それは誰かの都合であって、あのときの彼女の大切な人達にとってはどうだっていいことです。
  私が彼女のことをどう思ってるのか、なんて尚更です。」
「…そうかもしれないね。」
「だから、私は助けに行ったんです。
 誰も死なせない兵士になりたいのは、誰も泣かせない兵士になりたいから。
 もう…二度と…、誰も…!あんなツラい顔をしたらいけないから…!」

幾度も流してきた人類の真っ赤な血のように赤い夕陽の空を見上げて、は強く握りしめた拳を震わせていた。
自分が思っていたよりも強く、は兵士になると決意したときに覚悟を決めていたのかもしれない。
信念をもって、兵士として生きているのかもしれない。
ハンジからすれば、それはとても危険な思想で、調査兵団だけに留まらず、人類にも迷惑がかかることがあるかもしれない。
でも、今、彼女に何を言ってもきっと無駄だ。

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