【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第21章 ◇第二十話◇誤解を解く【調査兵団入団編】
夕方、は部屋にはいなかった。
そして、ハンジの思った通り、談話室のベランダで手すりに座り、赤く染まる空を見上げていた。
「どうして助けに行ったんだい?」
ハンジが声をかけると、は一瞬ビクリと肩を揺らした。
「なんだ、ハンジさんですか。
また、私の大切な時間を邪魔されるのかと思いました。」
困ったように笑うの隣に並び、ハンジはもう一度、同じ質問をした。
今日、が助けた女兵士は、重傷ではあるものの命はとりとめた。
いくつか骨折をしているようだが、安静にしていれば問題ないらしい。
彼女の兵士としての命は、なんとか繋がったのだ。
だが、だからよかった、とは決して思わない。
のあの動きは、あまりにも無謀だった。
「助けない選択肢があったんですか?」
至極不思議そうに訊ねるの言葉には、きっと悪い意味はない。
でも、彼女の目が無垢であれば無垢であるほど、ハンジは責められているような気持ちになる。
「今日は運が良かっただけだよ。
あれでは、彼女だけじゃなく、も一緒にいた兵士達も食われるところだった。」
「もしそうでも、私は助けに行きます。」
「あのね、。いつも言っているけど、
みんなを助けようとしていたら、キリがないんだよ。
分かるだろう?調査兵団には、犠牲はつきものなんだ。」
「だから、諦めるんですか?」
「そうだよ。」
「諦めなかったから、彼女は今生きているのに?」
「それは運が良かったんだって言っただろう。」
「じゃあ、運が悪くなるまで、私は諦めません。」
「お願いだよ。私の言うことを少しは聞いてくれよ。」
「ごめんなさい、それでも、私は、死んでほしくないんです。」
困った顔のハンジに、は申し訳なさそうに言って、目を伏せた。
「それが、自分のことを嫌っている誰かでも?」
ハンジが言うと、は小さく肩を震わせた。